デルフォイの巫女1

当ブログでは、宗教(主に原始宗教、古代宗教)について面白いと思った事を載せていきます。

今自分が、ハマっているのはノベルゲームの題材にもしている「デルフォイの巫女:ピューティア」です。

ピューティアは、古代ギリシャの都市デルフォイの神殿に仕え、預言を行っていたとされる巫女です。

彼女はおそらく、世界史史上、最も世界に対する影響力の強かった巫女でしょう。

近世以前には、女性は地位が低く、社会の表舞台に立つことがほとんどありませんでした。

古代ギリシャも例外ではなく、劇を除いて、歴史資料の中に女性の名前が出てくることは稀です。

そのような女性差別の状況下にあっても、ピューティアがギリシャの政治に与える影響は絶大でした。

その最盛期にあっては、アテナイやスパルタをはじめとする諸ポリスの国政や、対外戦争の戦略を決定してしまうほどの権限を持っていました。

例えば、アテナイのソロンが徳政令や奴隷解放令を布いたのは、ピューティアの預言に依るものだったと考えられています。

ピューティアは、西暦392年に古代ローマのテオドシウス帝が、デルフォイの神託を異教として禁止するまでに、少なくとも1000年以上に渡って、神の預言を伝え続けてきました。(デルフォイの神託がいつから行われていたかは不明です。ただ、ホメロスの著作で既に言及されていたことから、紀元前700年には既に存在していたと考えられています。)

どうしてデルフォイの巫女は古代ギリシャにおいてこれほどまでの権力を有していたのでしょうか?預言は外れることが無かったのでしょうか?

預言の効用が信じられ続けてきた理由の一つには、彼女の預言が曖昧であった、というのがあります。

彼女は「どうすべきか?」という問には答えず、「AとBどちらが良いか?」という二者択一の質問にだけ答えたそうです。Aの方が良いという預言をして、それが悪い結果になったとしても、Bにしていれば更に悪かったであろうと言えてしまうため、予言が外れであるとは見なされなかったそうです。

また、預言の内容自体も曖昧です。

以下は、AかBかという二者択一で聞かれなかった稀有な例です。

リュディアの王クロイソスが、「ペルシアと戦争をすれば勝てるか?」をデルフォイの神殿に尋ねたところ、「ハリュスの川を超えれば、帝国は滅びるであろう」という予言が得られたそうです。この帝国というのはリュディアとペルシアどちらを指しているのか判断が付きません。クロイソスは帝国はペルシアであろうと考え、ペルシアに戦争をしかけます。しかし、当時のペルシアはヨーロッパ随一の大国です。当然リュディアは敗北し、滅亡することになりましたが、「あぁ、預言で言われていた帝国はリュディアの事だったんだなあ」と解釈すれば、預言は当たっていたことになります。

以上のように、デルフォイで行われていた預言は曖昧であったがために、長らくその効用が疑われずに存続し続けていたのだと考えることが出来ます。

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