歴史小説アンソロジー世界史C参加(古代ギリシャ)

 遅れてしまいましたが、史文庫の唐橋様主催の歴史小説アンソロジーⅡ『もっとあたらしい歴史教科書:世界史C』に参加させていただいたので報告します。
 題材にしたのは古代ギリシャ(紀元前6世紀)、レスボス島の伝説的詩人サッフォーです!
 以下、サッフォーについて少し解説します。(殆どが沓掛良彦さんの【サッフォー 詩と生涯】の受け売りです。自分は歴史学徒でない素人ですのでご理解ください)

 レズビアン、サフィズムが女性同性愛の代名詞になってる事からサッフォーの名を知っている方も多いのでは無いのでしょうか。
 しかし、サッフォーが古代ギリシャにおいて名を馳せたのは、彼女が同性愛者であったからではなく、類稀なる詩の才能を持っていたからです。
 哲学者プラトンは次の言葉を残してます。

  詩女神(ムゥサ)らは、数え上げれば九柱おいでだ、などと言う人もあるが、なんと迂闊な!
  ほれ、レスボスの育んだあのサッフォーにお気づきなさらぬか、
  あれこそは十番目の詩女神(ムゥサ)なるものを

 古代ギリシャでは全般的に女性差別が激しかったと言われています。
 詩人ヘシオドスは女が災厄をもたらしたという神話を歌って、女性差別に正当性を与えています。
 アテナイでは、女性は常に家に閉じこもって家事や育児に専念すべきと考えられていました。
 そんな中サッフォーが活躍出来たのは、彼女が住んでいたアイオリス地方では、比較的女性に自由が認められていたからと言われています。
 こういった地域ごとの価値観の違いはどのように受け止められていたのか? をテーマに創作をしました。
 よろしくお願いします。あんまし歴史小説っぽくは無いですが……

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・サッフォーについて以下補足。
 サッフォーは前述したような名声を得ていながら、彼女の残した詩は殆ど断片でしか残っておらず、完全な形で残っているのは僅か1遍だけのようです。
 何故散逸してしまったかというと、サッフォーの詩が同性愛的だったが故に、後世のキリスト教徒の怒りをかって焚書にあったからです。
 残っているサッフォーの有名な詩を挙げます(沓掛良彦訳)

  あたかも、みず枝の末に高くかかって、
  こずえの先のそのまた先に、ひとつ残った
  林檎の、くれないに色づくのにも似て。
  摘む人のわすれたものか、いえ、わすれ得ましょうか、
  とどかぬばかりに、摘み残した物。

「この歌は祝婚歌で、みず枝の先に高くかかり、くれないに色づいて男たちの心をそそりながらも、容易に手が届かなかった林檎に乙女を喩え、その乙女がようやく時を得て婚礼を迎えたことを、華やかに歌い上げたものである(サッフォー 詩と生涯 沓掛良彦)」

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