クルクシェートラ
5日目と6日目、クルクシェートラへ。
ここは普通外国人が行かない場所なのだけれど、
インドの叙事詩マハーバーラタで最大の戦地となった場所なのである。
クルクシェートラの戦いなのである。
ここで、ブラフマアストラとかナーラーヤナアストラとかアーグネーヤとかがぶっ放されて、16億人くらい死んだはずである。
聖地クルクシェートラは、首都ニューデリーから割りと近い。
200km無いくらい。
だから特急なら電車で2時間くらいで着く。
遅い電車なら3時間半くらい……。
5日目
と言ってもこの日は、ヴァラナシからクルクシェートラへ移動しただけ。
朝9時にタクシーを使って空港へ向かう。
空港で案内表示が出るまで座って待っていると、突然係員が
「○○○○便のラストコールをするよ」
等と叫んでいる。
それって自分の便じゃん。
聞いてみると、早く2階へ行けと指示されたので走る。
何とか間に合った。
しかし、掲示には1階だと書いていたはずなのだが……。
デリーに着いた後は、ニューデリー駅へ向かって、そこから地下鉄で
Rajiv Chawk駅へ。
憧れのコンノートプレイスへ向かう。
南インド料理が食べたかったのでsarawana bhavanへ行く。
ものすごい混雑だ。
そういえば今日は土曜日なのだった。
自分の名前をアルファベットの綴り付きで伝えたが、実際に呼ばれる段には全く別の名前が呼ばれた。子音だけ合っているという感じ。
たとえて言うなら「ヤスダ」が「ヨシデ」になるくらいの違い。
入ってミールスを頼む。
美味しいのだが、この時体調を崩していて満足に食べられなかった。
うーん……、残念すぎる。
食べた後、再びニューデリー駅へ向かう。
クルクシェートラ行きの便を探すのだ。
ちなみにチケットは友達のインド人に取ってもらった。
この電車はかなり良かった。
日本の新幹線にちょっと近い。
前の座席に食事用のトレーが付いていて、なんとモニターもある。
飛行機みたいだ。
尤も若干汚くはあるのだけれど。
途中、車内食が配られる。
お腹すいてなかったのでこれは食べずに、後で、リキシャの運転手にあげた。
そしたらめっちゃ喜ばれた。
よほど貧窮しているんだろうか。
クルクシェートラ駅に着く。20時半くらい?
何故か駅前にコナーラクのスーリヤ寺院の車輪が置いてある。
リキシャでクリシュナマハルホテルへ向かう。
80ルピー。
道がめちゃくちゃ悪くて、腰を痛めそうだった。
一応舗装はされているもののところどころ陥没している。
だからリキシャもあまりスピードを出さない。
クリシュナマハルホテルはブラフマーサローヴァルって言う有名な貯水場の近くにある。
ここのホテルオーナー(と、勝手に自分が判断した人)は陽気な人で
「おー日本人か?? 一人で来たのか??」
と聞いてきた。
「ジョーティザルはここから近い? クリシュナがギーターを説いた場所なんでしょう?」
と聞くと無茶苦茶嬉しそうにしていた。
「おー、それを知ってるのか! そうだ。ジョーティーザルはここから8kmほどのところにある。とても聖なる場所なんだ」
と熱弁してくれた。
英語通じて良いなぁと思ったけど、このオーナーは翌日にはいなくなっていた。
そして他の従業員は英語が通じないので意思疎通に難儀した。
写真からでは分からないけど、結構汚い。
ベッドにも糸くずが結構ついている。
そして、このホテル、というかクルクシェートラという街全体がそうなのだろうけれど、停電が頻発する。
一晩泊まっただけなのに4回くらい停電した。
その度に、何も見えなくなってベッドで目をつむる事しかできなかった。
ご飯は付設されているレストランで食べたのだけれど、かなり美味しかった。
期待していなかっただけにラッキーだった。
なんてものを頼んだのかは忘れてしまったが。
6日目
朝起きたのでホテル近くのブラフマーサローヴァルを歩くことに。
クリシュナマハルホテルの外観。
安定の犬。
むしろ犬がいない場所など北インドではない。
なんかいっぱい地名が記された看板があった。
結構マハーバーラタ由来のものが多い。
予想以上に広大な湖だった。
端から端まで1キロくらいはありそう?
歩いている人はヒンドゥーの正装っぽい人が多い。
真ん中にシヴァ寺院と巨大なクリシュナアルジュナ像がある。
何か書いてあるけど、読めない。
朝日が昇って良い感じの風景。
ヴァラナシで朝日を見られなかった代わりにここで見られてよかった。
朝飯を食べにくる。
相変わらず英語が全く通じない。
向こうがヒンディー語でなんとか言ってくるのだが全くわからない。
なんでわからんっつってんのに何回も言ってくるのかわからないけど、とにかくメニューを指差すことだけを続ける。
サンドウィッチと生野菜っぽいのが出てくる。生野菜はやばいと聞いていたけどもうなんとなく油断して全部食べてしまった。
今のところお腹を壊す様子は全くない。
black teaを頼んだのだが普通にめっちゃ甘かった。ブラックとは一体。
朝飯を食べた後、ジョーティーザルへ向かう。
ジョーティーザルはクリシュナがバガヴァッドギーターをアルジュナに授けた場所とされている。
不死の菩提樹バンヤンツリー、この木の下で伝えたのだ。
インド人の観光客らしい人もいっぱいいた。でも外国人はゼロ。しかし犬はいる。
次に謎の寺院に連れていかれた。ここは知らなかったけどタクシーの運転手がオススメしてくれた場所だ。
中に入ると英語で話しかけてくれるおんちゃんがいた。
来たー英語! これほど英語をありがたがる日が来るとは。
どこから来たんだ?
日本
日本? おー良いね良いね。
と言って満面の笑みを浮かべた。
こういうの良い。今までデリーやヴァラナシだと外国人は大量にいるから全くありがたがられないし、金の成る木としか思われてなかった。
おんちゃんは寺院の中を案内してくれた。
一柱ずつ神の名前を紹介してくれた。
中では、二人の奏者が演奏しながらハレクリシュナを、歌っていた。
途中から別のおんちゃんにバトンタッチされたのだが、そのおんちゃんは英語を時々交えるけれどヒンディー語ベースで話し始める。いやヒンディー語わかんねんす。
ここイスコン系列なのかな? 違う?
色々写真撮った後退散した。
お布施を要求されたので100ルピー渡しといた。結局お布施か感はあったけどそこまで悪い気はしなかった。
イスコン寺院はクルクシェートラにもあったのか。
中にはクリシュナ、ラーダー、ジャガンナート像が置かれていた。
帰ろうとすると声をかけられる。
またお布施かと思ったけど、逆だった。
何か食べ物と飲み物をくれた。
まじか。逆にくれるとは。
インドで初めての経験だわ。
しかも美味しかった。
では次にビーシュマクンドに行った。
ビーシュマが倒れた場所らしい。
なるほどビーシュマの像がある。
出来はそれほどでもないかもしれない。
五人いるのはパーンダヴァでしょう。
全員同じに見える。
他にもドゥルガーとかハヌマーンが祀られていた。由来は不明。ハヌマーンの場所まで近づきたかったけど裸足にされていた上、犬が吠えまくっていたので怖くて近づかなかった。
この後、ホテルに戻ってチェックアウト。
クリシュナ博物館へと向かった。
入場料わずか30ルピー。
外国人料金は取られず正規の値段で入場!
これはインドに来て初めての経験だ。
それほど、このクルクシェートラという場所には外国人が来ないという事なんだろうけど。
最初の方はクリシュナの展示しかなかったけど後半になるにつれ、マハーバーラタ関連のものが増えて来た。
ビーシュマが横たわっているところとかアビマニユが殺される場面の再現セットがあった。
絵も沢山あって、ドゥルヨーダナがドラウパディーを辱めるシーンとか、ビーマがドゥルヨーダナを殺す絵とかパーンダヴァが森に追放される絵とかがあった。
気になったのは必ずしもヒゲが描かれるわけではない点。ビーマですらヒゲがないのもあった。クリシュナは必ずヒゲがない。
マハーバーラタクイズコーナーもあった。めちゃめちゃ難しくて、全然分からなかった。
クリシュナがカンサを倒す前に殺した象の名前は?
とか
ソーダパニの士族の名前は?
とかだった。
知るかw
最後にマハーバーラタの章毎の展示があった。
最初のはじまりでは、クリシュナの巨大像があってバガヴァッドギーターを再現している。
ハースティナプラの鏡の回廊を再現した場所などもあった。
次にアビマニユの迷路が再現されてあった。蓮の形をした迷路になっている。規模は小さくて出るのに1分もかからない。
後の章はパネルで説明していた。
アシュヴァッターマンが自らの宝石を外すシーンやガーンダーリーがクリシュナを呪うシーンなどがあった。
マハーバーラタ好きなら絶対楽しいと思えるような場所だった。それだけのためにわざわざインドに行くほどではないけれど。
お土産は期待外れだった。どこにでもありそうなガネーシャ、シヴァ、クリシュナのキーホルダーなど。
中にはヒンドゥーすら全く関係ないおもちゃのミニカーなどを売っていた。
おいおい。どうせならもっとマハーバーラタに関係するものを売ってくれ。
そもそもこの国にはお土産文化がないのかもしれない。
最後にカルナが作ったとされる城に行ってみたのだが何もなかった。
盛り土みたいなのがあるだけ。
がーん。。。
全く行く意味がなかった。
ショック。
しかも意外に近い距離でリキシャにぼられたし。
鬱だ。もう電車のホームでぷらぷらしていよう。
そう思って駅のホームで佇むことにする。
駅にもマハーバーラタ絵が描かれてある。
電車は30分ほど遅れて来たが、着くときには30分以上は遅れなかった。
ニューデリー駅を進んでホテルに行く。
初日ほどの衝撃はもう無い。
犬がいるのを当たり前の景色と感じるようになってしまった。
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